ムーシールドを用いた受け口の治療

生後6ヶ月頃から下の前歯が生え始め、3歳頃になると乳歯20本がすべて生え揃います。乳歯列期にみられることの多い不正咬合の1つは「受け口」です。歯科健診で受け口と診断されて、歯科医院を受診しても、永久歯に生えかわるときに治るかもしれないので様子を見ましょう、と言われることがあるようです。

では、実際にどの程度が自然に治るのでしょうか。愛知学院大学の調査報告では、 乳歯列期で受け口(反対咬合)と診断された子供で、 永久歯に生えかわった時に自然治癒したのは6.4%だったそうです。 一般的にも自然治癒する確率は15%以下だと言われています。

受け口の骨格的な特徴として、上顎が小さく下顎が大きいという傾向があります。そのため、乳歯列期における受け口の矯正治療は、上顎の成長を促進し、下顎の成長を抑制する方向で行います。つまり、上下顎骨の大きさのバランスを改善して、正常な発育を促すことが治療の目的になります。

開始年齢と矯正期間

乳歯列期の3歳程度から、受け口の治療を開始できます。お口の中にマウスピース型の矯正装置であるムーシールドを入れて、舌や口の周りの筋肉のバランスを整えることで咬み合わせの改善を目指します。治療期間の目安はおよそ1年です。ただし、お子様がきちんと矯正装置を使用しない場合は、治療期間が延長します。矯正期間中は1ヶ月に1回程度、経過観察のためにご来院いただきます。

ムーシールドの使用方法

ムーシールドは主に夜間とテレビを見ている時に使用していただきます。したがって、学校で使用する必要はありません。マウスピース型の矯正装置は、ご自身で取り外せるメリットがあり、歯磨きなどに制限がありません。ただし、お子様自身が決められた時間、装置を装着しけなければ治療が進まないので注意が必要です。

こんな歯並びのお子様に

下顎前突(かがくぜんとつ)

下顎前突とは、「受け口」とも言い、骨格的に下顎が大きい状態のことを指します。原因は前歯だけが位置的に前後している場合もありますが、顎の骨格ごと前後にズレていることも多くあります。

早期に治療を開始するメリット

受け口(反対咬合)をそのままにしていると、下顎が過成長になりやすく、顔貌にも影響を与えることがあります。また、治療の選択肢が狭くなり、矯正治療も格段に難しくなってきます。場合によっては、顎の骨を切る口腔外科手術を選択しなければなりません。ムーシールドを使用することで、乳歯列期の3歳程度から、受け口の治療を開始できます。ムーシールドは「歯並びを整える」というよりは「顎の成長を利用して、上下の歯の咬み合わせの関係を正常にする」目的で使用します。もちろん、ムーシールドを使用したとしても、100%咬み合わせが改善するわけではなく、小学生に入ってから小児期の矯正治療に移行することもあります。しかし、そんな場合であっても、早期に矯正歯科治療を開始することで、顎の骨を切る外科手術を併用する歯列矯正を回避できる可能性が高くなりますので、できるだけ早い段階で相談されることをおすすめします。

ムーシールドの治療効果

ムーシールドを用いた受け口の治療は、矯正装置で歯を動かして「歯並びを整える」のではなく、「顎の成長を利用して、舌の位置や顎のバランスを整える事で、歯の咬み合わせを正しい位置に修正する」治療方法です。

今まで実績のある治療方法であり、一定以上の効果は見込めますが、ムーシールだけで反対咬合が絶対に治るという訳ではありません。他の矯正治療と併用が必要な場合もあります。 また、治療が完了したとしても、身体の成長が進むにつれて、再治療を必要とする場合もありますので、定期健診でチェックを受けることが大切です。

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